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犬アトピー

今回は、よく認められる犬アトピー性皮膚炎・食物アレルギーについて

出来るだけ分かり易く書いていきたいと思います。

まずは言葉の使い方なんですが、

アトピーとアレルギーとは異なる言葉ですので混乱されている方も

多数おられると思いますので、ここできちんと説明いたします。

アトピーとは、IgEという抗体を作りやすい体質という遺伝的背景を持っており、

IgEが少しでも上昇していればアトピーと呼びます。

つまり、アトピーとは
「あなたはアレルギーになりやすい素質がありますよ」
ということだけなのです。
よって、アトピーであるということを知るには必ずアレルギー検査(IgE検査)をしなければ分かりません!

アレルギーとは症状があり、かつアレルギー検査で原因アレルゲンに対するIgEを検出したことを言います。

例えば、症状がありアレルギー検査で「花粉」が検出された場合は、「花粉アレルギー」となります。
また気管支炎がアトピーの関与により起こっている場合は、「アレルギー性気管支炎」と言います。

< 犬 アトピー性皮膚炎 >

〔犬アトピー性皮膚炎とは〕

環境中のアレルゲン(花粉・カビ・ノミ・ダニなど)に対して
アレルギー反応が起こり特徴的な皮膚症状が起こっている状態のことです。

もう少し詳しく書きますと、
犬アトピー性皮膚炎とは「特徴的な臨床徴候を伴う、遺伝的素因による
炎症性掻痒性アレルギー性皮膚疾患であり、その臨床徴候が主に
環境アレルゲンに対するIgEに関連するもの」をいいます。

ここでいう特徴的な臨床徴候とは
「肘の内側、脇、膝、手根部・足根部、指の間、股、腹部、耳、首、
 眼や口の周囲、肛門周囲に痒みを伴う慢性・再発性の皮膚炎が
 起こること」を言います。

〔好発犬種〕

柴犬、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、

チャウ・チャウ、ヨークシャー・テリア、ダルメシアン

チャイニーズ・シャー・ペイ、パグ、シーズー

ミニチュア・シュナウザー、コッカー・スパニエル

ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア  などです。

〔発症年齢〕

およそ4ヶ月から7歳齢です。

〔発症時期〕

基本的にアレルゲンが飛散する季節に多く認められるため春~秋に

症状が強く現れることが多いです。

しかし、症状が進行すると季節性が無くなることがしばしば認められます。

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〔治療法〕

基本的に、犬アトピー性皮膚炎の治療は根本治療ではなく

対処療法になります。

いかに症状(炎症)を抑えるか、症状の悪化のサイクルに入らないようにするかが大事になります。

使用する内服薬としては、オクラシチニブ(アポキル)・ステロイド・シクロスポリン・抗ヒスタミン剤

必須脂肪酸・抗生剤(細菌感染症の治療として)・抗真菌薬(マラセチアの治療として)を組み合わせ使用します。

当院では内服薬のステロイドは出来るだけ最小限の量に抑えるための様々な投薬方法を提案しております!!

その他、減感作療法(アレルゲン免疫療法)・インターフェロン療法などを併用します。

また非常に大事になるのが、保湿剤・シャンプー・コンディショナーの適切な使用。

および局所に対しての様々な外用薬を併用することで、内服薬の減薬・休薬を目指します。

<食物アレルギー>

次に食物アレルギーについて書かせていただきます。

食物アレルギーとは上記に示しました「アレルギーとは」

というところで述べましたように、

症状が認められかつアレルギー検査にて食物が検出された場合を

食物アレルギーといいます。

食物アレルギーのアレルギー反応はIgEの反応とリンパ球の反応の

2つの反応があります。

今まではIgEの反応のみしか検出できませんでしたが、近年、リンパ球

に対しての反応も検出することが出来るようになりました。

食物アレルギーはIgEタイプが23%、リンパ球タイプが28%、

混在型が49%であると報告されていますので、今までのIgE検査では

食物アレルギーが検出されなかったり、また検出されても原因となる食物

アレルゲンと一致しなかったのは、このためだったのです。

〔発症年齢〕

1歳未満から発症した場合は食物アレルギーを疑います。

〔発症時期〕

季節性はありません。特に1月~2月に痒みがある場合は食物アレルギー

を疑います。

〔好発部位〕

眼・口周囲、背中に皮膚症状が出ることが多いといわれていますが、

症状のみで犬アトピー性皮膚炎と区別することは困難です。

〔治療法〕

原因アレルゲンの除去。つまり原因となるアレルゲンが含まれていない

除去食のみを食事とします。

炎症に対しては犬アトピー性皮膚炎と同様に、

オクラシチニブ・ステロイド・シクロスポリン抗ヒスタミン剤・必須脂肪酸・

抗生物質・抗真菌薬を組み合わせて使用します。

ただし、犬アトピー性皮膚炎に比べてステロイド使用による

痒みの抑制は低いといわれています。

<犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギー>

症状部位や初発年齢だけでは鑑別することが困難なので

やはりアレルギー検査により原因アレルゲンの特定を行うことが必要です。

ただし、アレルギー検査で犬アトピー性皮膚炎・食物アレルギーの有無を知るの

ではなく、様々な皮膚検査で感染症(細菌・真菌)、ダニ、ノミアレルギー性皮膚炎

などの皮膚疾患を除外してさらに皮疹や皮疹の分布・痒みの度合い・季節性などで

犬アトピー性皮膚炎・食物アレルギーを強く疑った場合にアレルギー検査を行い、診断していくのです。

犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは混在している場合が多く

犬アトピー性皮膚炎単独は7%、食物アレルギー単独は25%、

混在型は67%であると報告されています。

そのために、食物アレルギーのアレルギー検査が

必要なことがお分かりだと思います。

もっと詳しくお話を聞きたい場合は遠慮なく病院までお越しください。

また、最近他病院でせっかくアレルギー検査したのに全くよく分からない・治らないと来院されてくる飼い主さんが増えております。アレルギー検査はしただけでは意味がありません。

いかに解釈し、それを治療に有効に使うかです!高いお金を払って検査をしても有効に使わなければ意味がありません。このような飼い主さんもぜひ一度アレルギー検査の結果を持ってご相談に来てください!

飼い主さんへの説明・ご理解が非常に重要になってくる皮膚病ですので

いつでも何でも相談しに来てください。

向坂

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